大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和26年(う)364号 判決

原判決が被告人の酒税法違反の事実摘示として、被告人は澱粉を原料として酒精分十五度の合成酒一石一斗位を製造したものであると判示していること、所論のとおりである。しこうして、澱粉だけでは、所論のように合成酒を製造することができないこと勿論であるが、原判決は、被告人が合成酒を製造するについて澱粉を主たる原料として使用したので特にその旨を判示したもので、すなわち主たる原料である澱粉に対し通常用いられる製造工程を経て合成酒を製造したことを判示しているものと解せられ、しかも、原判決の挙示する証拠に依れば、被告人は澱粉を主たる原料とし、その他の材料を加え通常の製造工程に依り合成酒を製造したことが認められるのである。従つて原判決が所論のように酒精分の生ずる醗酵の具体的事実をも判示していないとしても、これを以て理由不備の違法があるということはできないから、論旨は理由がない。

同第二点について。

被告人が本件酒税法違反事件について所轄税務署長に告発されたことは、本件公訴の提起条件であるが、罪となるべき事実そのものではないから、原判決が判示酒税法違反事実を認定した証拠として税務署長の告発書を挙示していないとしても、これを所論のように違法であるとすることはできない。それ故論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!